2026年7月20日(月・祝)の産経新聞のコラム「ここ見て!!神戸須磨シーワールド」に掲載されました。

メガネモチノウオは成長すると全長2m以上になる世界最大のベラです。インド・太平洋の熱帯域に広く分布し、日本では沖縄県以南のサンゴ礁や岩礁域に生息しています。眼の後ろにある黒い模様がメガネをかけているように見えることから「メガネモチノウオ」と名付けられました。また成長するとメスからオスに性転換し、成熟したオスの頭部はコブのように大きく盛り上がります。この盛り上がった頭部がフランス革命で有名なナポレオンが着用していた帽子に似ていることから「ナポレオンフィッシュ」と呼ばれることもあります。
とても大きくなるため成長に伴い外敵は減り、サンゴ礁の生態系のトップに立ちますが、近年は観賞魚や食用として乱獲されていることや、地球温暖化による海水温上昇が原因でサンゴが死滅し、生息環境が失われることで数を減らしています。そこで保護のため絶滅危惧種に登録され、ワシントン条約に記載されるなど国際的な取引が規制されています。また、野生個体の乱獲を防ぐため養殖の研究も行われています。
エビやカニなどの甲殻類が大好物で硬い殻がある獲物も喉にある咽頭歯という歯を使ってつぶして食べます。当館で飼育している個体もエビが大好物で水槽内にエサのエビを投げ入れるとすぐに寄ってきて掃除機のように吸い込んで食べます。ベラのなかまは昼に活動し、夜になると岩陰や砂の中に潜って眠ります。メガネモチノウオも同様に昼は水槽内を優雅に泳ぐ姿が目を引きますが、夜になると上手に物陰に隠れてしまうので、その姿を見ることはできなくなります。神戸須磨シーワールドホテルの宿泊者限定イベント「シーワールドナイトウォーク」では、夜の水槽内の様子を観察することができますので、ぜひ参加して探してみてください。
魚類展示課 上野 洸史郎




